加藤整形外科の加藤幹雄先生に講習して頂きました。今回のテーマは「スポーツでの怪我予防(膝の故障)身体に負担の少ないジャンプトレーニング」です。その中でも今回は「前十字靱帯の損傷(ACL)」の予防法を聞かせていただけました。
まず最初にスポーツの重要性として、スポーツは健康を守る大切な文化だとおっしゃっていました。現代ほど運動・運動器の重要性を叫ばれている時代はないという事でした。しかし、運動をする以上、ケガをする可能性はなくなりません。楽しく、そして安全な予防を大切にしてスポーツに取り組めるようにしていきましょう。
前十字靱帯の損傷は、バスケットで起こるケガの中で意外に頻度が高く、重いケガになります。損傷をしてしまうと、スポーツの継続が難しくなってしまうそうです。特に女性の割合が多く、手術しても完治するとは限らないケガとのことです。ケガの発症の事例として、
■膝が内側に曲がってしまう
■体重が後ろにかかってしまう
■軽度屈曲
■体幹のズレが多く関節の柔らかい人
が切れやすい事から、外傷から起こる事より動作の時に起こる事が全体の3割以上(60~80%)を占めているそうです。7~11月(練習での負荷が高まり、身体に疲れがたまっている時期)にかけて、ケガが起こりやすいそうです。
予防には、身体の使い方が重要だとおっしゃっていました。その身体の使い方として、8つのチェックポイントを挙げていました。トレーニングをする際にも注意しましょう。
1、膝を内側に向けない
2、つま先と膝の向きが同じ
3、膝を柔らかく
4、着地時に音を立てない
5、前後のズレがないように(姿勢)
6、左右のズレがないように
7、素早く次のジャンプが出来る体勢
8、深く曲げる
身体の使い方に注意して、回数よりも正確にストレッチやトレーニングを行う事を重要視されていました。やり方を間違えると返って逆効果になってしまったり、効果のない事になってしまうので、注意しましょう。
予防のためのトレーニングについては、
1、筋力をつける
2、バランス能力の向上
3、ジャンプトレーニング
4、スキルトレーニング(実戦への対応)
というように、4段階に分けて負荷を高めていくと良いそうです。特に体幹トレーニングは効果があるとのことです。ハムストリングスの筋力アップも欠かせないそうです。
ジャンプトレーニングのメニューもいくつか紹介していただけました。
1、タックジャンプ
2、ウィールジャンプ
3、前後両足ジャンプ
4、スクワットジャンプ
5、コーンジャンプ
6、180度ジャンプ
7、その場バウンディング
8、シザースジャンプ
9、バウンディング
10、片足ホップジャンプ
11、前方片足ジャンプ
12、Xホップ
の12種類をご紹介していました。トレーニングをする際の注意点ですが、疲れていない時(身体をコントロール出来る時)に行うようにしてください。疲れている時に行うと、部分的な意識が薄れて体勢等悪くなり、膝に負担をかけてしまう事があるので、十分注意しましょう。
予防トレーニングをする事で、明らかにケガの割合の減少効果があるそうです。さらに統計的に、シンスプリント、疲労骨折、ジャンパー膝にも効果があるそうです。
トレーニングを始める時期としては、ゴールデンエイジから行い始めると良いそうです。男の子は12才、女の子は11才以前から行いましょう。正確に行う事を忘れないでください。
加藤先生からのまとめとして、トレーニングの負荷を考えながらメニュー構成をとの事でした。出来るだけ(可能な限り)予防に努めて、スポーツ選手が健全な生活を送れるようにすることを、指導者の方々へお伝えしたかったのだと思います。
今回この講習を受けてみて、スポーツにケガはつきものかと思いますが、予防する事は可能な限り出来ると思いました。指導者として、ケガをした事でチャンスを失う事がないように、皆さんもスポーツ選手がベストパフォーマンスを常に発揮できるような状態で居られるよう、アプローチしていきましょう。
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